レビューを読んで

下のエントリでレビューしたイワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ (光文社古典新訳文庫)を読んだ後に、mixiはてなキーワードから他の人のレビューや感想も読んでみました。

すると、どうやら「イワン・イリイチの死」を分かりにくいという人が多くて、「クロイツェル・ソナタ」を共感できるという人が多いらしい。自分では逆だと思っていたので、ちょっと意外。

想像してみるに、「クロイツェル・ソナタ」のテーマとなっている男女関係と嫉妬の描写ってのは、多くの人が似たような屈辱を過去に受けた事があったり、あるいは現在味わっている人が多いんじゃないかという気がする。確かに死ぬ経験なんてほとんどの人が人生の一番最後でしか味わえない物だし、反面嫉妬なんて若い頃にでも経験できるし、一度くらい経験のある人の割合がかなり高いのではないかと思う。

自分が「イワン・イリイチの死」の方に強く共感したからといって、別に過去に死にかけた経験があるわけじゃない。けど、孤独にさいなまれる描写が自分の目にはとてもリアルに映る。身近な人から距離を感じ、隣に居てくれる人が居ない事を悩みだすと、割と1年くらいでこの小説に描かれているような孤独感のさいなみ方をするんじゃないだろうか。というか自分はした。

別にどちらの小説に共感したからってそれで人間の本質を云々できるような事は無いけれども、それでも何か他の人とは違うんじゃないかという意識を感じたので、とりあえず吐き出してみました。