秘密 (文春文庫)

秘密 (文春文庫)

秘密 (文春文庫)

週の始まりに徹夜読書をしてしまい、週明けからどうしようかと思い悩んでいるところです。

それはさておき、面白かったです。とても読みやすい文体にも関わらず、その中に必ず心に染み入るような感情の変化が描かれています。節ごとに一つ一つ事件が起こっているのも特徴的で、これが飽きずに400ページあまりを通読できる理由の一つなのかなと思います。

キーツアー中の交通事故に巻き込まれて重傷を負った女の子の体に、同じ事故で亡くなった母親の魂が入り込んでしまう、というのがこのお話の中心。そんな内面は妻だけれども外面は少女の姿をした娘と、主人公である父親との間の生活の様子を描いた一冊。結末でタイトルの「秘密」の意味が明かされる辺りが秀逸です。

10年前の小説を今この瞬間に読めているというのがとても嬉しいです。10年前に読んでも今ほどには登場人物の心情を理解できなかったろうし、今読めているからこそ、登場人物の心情を今の自分なりに感じる事が出来ていると思うからです。