白石一文「不自由な心」(2) - 卵の夢

不自由な心 (角川文庫)

不自由な心 (角川文庫)

不況で業績の落ち込んでいく自社と、病気で先が長くない父親をテーマにしたお話。「独り」で成し遂げるという事にやりがいを感じるという所に共感し、一方で他人との交わりの消失は生きがいを失わせ、虚しさばかりが残るという辺りに同意した。

前作にあまり共感できなかったので本作もどうかと心配しながら読み始めたけれども、これは意外に良かった。

最後に坂本が「卵の夢」を見る描写がなされなかったのが、何とも虚しさを感じさせる。