白石一文「不自由な心」(3) - 夢の空, 水の年輪, 不自由な心

不自由な心 (角川文庫)

不自由な心 (角川文庫)

後半の3篇は一気に読みました。既に読後1日以上経っているので、かなり読後感も薄れてきていますが、とりあえず感想をば。

夢の空

ドラマティック。心理面の描写もさる事ながら、物語の展開が面白かった。いきなり四倍角文字はずるい。

水の年輪

死を宣告された後にどう過ごすか、という話。本作の主人公は周りのしがらみを捨てて一人で生きることを選択するけれども、果たしてそれが本当に楽しいことかどうか、というのは疑問に思った。無論昔の浮気相手に思いを寄せているからこそ、死ぬ前に全てを捨ててその人の下に行きたい、というのはあったのだろうけども。

不自由な心

著者もあとがきで述べている通り、多少解釈が難しい話。でもパッと見だと、自分の生き方の信念がぐらつきつつも、もうこの年になってしまうと軌道修正も難しい、という話に思えました。自分が思う自分と、他人が思う自分の姿の相違って難しい。